金子みすゞと北原白秋

2016/11/08


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 手元に金子みすゞ編「琅玕集」と題された単行本サイズの本が上下2冊あります。
帯には、「残された最後の手帳ついに出版」と書いてありました。
この本には、大正13年11月から15年11月の間に発行された雑誌や詩集などから、みすゞ自身が選んだ童謡・小曲をまとめた詞華集で、西條八十、北原白秋といった有名な詩人の作品から、みすゞと同じ若い詩人たちの投稿作品、また、幼い子供たちの自由詩など、有名無名を問わず、106人の著者による全199編が収められています。
 題名の「琅玕(ろうかん)」とは、暗緑色、青碧色の半透明な美しい石。転じて美しい書や文章という意味。
現在では、高い透明度と美しい色合いを持った最上質の翡翠のことを特にさして「琅玕」と呼ぶそうです。
 では、なぜみすゞは琅玕集をつくり始めたのでしょうか。矢崎節夫氏によると、
「・・・大正13年4月から約1年間、師と仰いでいた西條八十が留学のため仏へ行ってしまった」からだ。
続けて
「八十のいない間、みすゞは、『童話』への投稿は控え、かわりに他の雑誌から、自分のこころにふれた作品を集めて1冊の選集をつくることで、自らの詩精神を高めようとしたのだろう。」と、いわれています。
 本書の中で、一番多く選ばれた作品は当然師と仰ぐ西條八十の作品だと、誰しも思うでしょう。
ところが、さにあらず。当時、八十と並び童謡界の中心的存在であった北原白秋の作品が29編、次いで八十の作品18編(訳詩含む)で白秋の作品がなんと最多になっています。
 その中には名曲である「この道」や「酸模の咲くころ」なども含まれています。
みすゞの作品に明らかに影響を与えていると思われる作品もあるので、別紙に順次紹介していくことにします。
 本号では、歌にもなっている「酸模の咲くころ」を紹介しましょう。

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「酸模の咲くころ」の入ったCDを受付・売店で販売しています。
24曲入り1,800円です。




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