朱欒(ざぼん)の実がたわわになりました

2015/11/27


白秋生家の庭に一本の朱欒(ザボン)の木があります。
この樹に今年もたくさんの実がなりました。

ザボンは、ポルトガル語で、zanboa(ザンボア)といいます。
白秋は、明治44年(1911)11月から大正12年5月まで文芸雑誌に
「ザンボア(朱欒)」と命名、19冊発刊しました。

創刊号に白秋は、生家のこの思い出多い朱欒について、
下記のように書きつづっています。


 朱欒が熟(みの)るころから酒作りがはじまる。私は廃れた南方の町の、
あの匂い高い、さうして何となく新らしい味ひのあるこの朱欒の樹のかげで生れて、
酒の薫と暖かい日光の中で、自分の心を温めながら穏やかに生い立つて行つた。
 さうして冬が来て朱欒の実がぽつとりと落つる夕暮になるとよく実を抱いては
*水路のほとりに座った。・・・黄色い、キメの細かな、手触りの冷たい、
懐かしい、ZANBOAよ。
 わたしはそなたがなつかしい、而してその実に頬ずりしてはちやうど
*パライソオの空のこころでもさしのぞくやうに長崎の街をゆめ見てゐた
幼年時代がなつかしい。
 ああ。ZANBOA.ZANBOA.・・・・・・・・


*水路・・・隠居部屋脇の水汲場
*パライソオ・・・PARAISO、ポルトガル語。天国、楽園の意味。

20151127_白秋ブログ

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